京都の名所には荘厳な寺院や圧倒的な国宝と多くあり、春は桜、秋は紅葉といった四季折々の素晴らしい景色が楽しめます。せっかく旅行で京都を訪れるならこんな景色を楽しみたい、と思う景色の一つに京都の紅葉と思い浮かぶ人も多いはず。
人気の寺や散歩道を歩きながら、ふと見上げれば紅葉の見事な光景が目に映り、しばし足を止めて見とれてしまいます。そんな京景色一つ、京都の紅葉の名所を紹介します。
京都駅周辺には言わずと知れた紅葉の名所があります。通天橋から見る紅葉が絶景の東福寺には、国宝の三門や重森三玲作庭園、塔頭寺院など見どころは多数あります。紅葉の素晴らしさはひと際で、境内の2千本のカエデが色づき、眼下に見渡す限り広がる深紅に染まる紅葉が、この世の極楽を見るような景色です。
壮大な御影堂が建つ東本願寺は、門前の銀杏林の黄葉群に目が奪われます。金色に染まる銀杏林の景観美に秋の始まりを感じ、心が浮き立ちます。
京都御苑は約1万本の樹木が植栽されており、その内の何分の一かは落葉広葉樹であり、秋には美しく紅葉する木が数多くあります。
周囲に、壮麗な築地堀を張り巡らす京都御所の佇まいと紅葉との景観は、京都だからこその美しさです。また京都御苑の近くに、清浄華院や梨木神社などの寺院があります。
清浄華院は静寂そのもので、雅で風格ある伽藍が立ち並ぶ境内のあちこちに、桜やカエデの木々が植栽されています。秋には枝の葉が艶やかに緋色に変化します。観光寺院ではないので、静かに紅葉を独り占めできる贅沢を味わえます。
梨木神社は鬱蒼と樹木茂る京都御苑と一体化するように佇み、萩の名所として有名ですが、その萩の黄葉も含め境内には桜や桂、カエデの紅葉が風雅な社殿と相和して見事な景観を呈しています。静かな参道を歩きながら社殿を参拝するといいでしょう。
清水の舞台で知られている寺院、清水寺は東山の山間部を利用した大伽藍の要所に数多くの桜やカエデが植栽されていて、古くから紅葉の名所として知れ渡り、旅人達はまず清水寺に参詣し、風景を楽しんでいました。それは現代にまでも続いていて来山者は列をなして訪れます。
この期待を裏切らない景観を境内随所で見ることが出来ます。
人気の観光スポットとはいえ、落ち着きを見せる銀閣寺周辺は、どことなく凛としていて歴史と自然が融合した寺院が多くあります。銀閣寺はもちろん、南禅寺もそのひとつ。季節ごとに趣があり、京都の紅葉の名所として知られています。
広大な境内には紅葉の見どころが沢山あり、圧巻はやはり大盗賊・石川五右衛門で有名な三門周辺でしょう。東山を登る朝日に照り映える紅葉のシルエットが浮かぶ三門の取り合わせは、真に絵になっています。レンガ造りの水路閣の辺りや本坊庭園の紅葉も楽しめます。
永観堂は平安時代から続く紅葉の名所で、7千本のカエデが植栽されており、金山紅に染まり紅葉のビューポイントは方々にあって、時を忘れて歩いてしまいます。夜間にはライトアップされて夜の紅葉が楽しめます。哲学の道は銀閣寺から若王子神社まで続く琵琶湖疏水沿いの小路で、春は桜、秋は紅葉と季節ごとに楽しめます。
紅葉の名所、永観堂から法然院へかけての道すがらに紅葉を楽しむ人が多く、哲学の道を通る観光客を一斉に深紅の葉を向けて迎えてくれてます。法然院は浄土宗開祖の法然上人ゆかりの寺で、参道の紅葉林、山門内の白砂檀と放生池畔を彩る黄や紅の紅葉、そして万丈庭園や如意庵露地の紅葉と様々のシチュエーションで紅葉が楽しめます。
修学院・北山は喧噪から離れ、ひと際澄んだ空気が流れています。季節の移ろいも際立ち、貴人や文人が多くこの地を好み、彼らの営んだ山荘や庵や美しい庭園が残っており、紅葉の名所も多く点在しています。曼珠院は水の流れを白砂で表した枯山水の庭があり、庭園と紅葉の美しい寺です。
門前のカエデ並木の紅葉を通り抜け境内へと歩めば、庭園の美しさと紅葉の華やかを堪能出来ます。圓光寺は日本最古の木製活字が残る寺で、秋の紅葉が始まると燃えるような深紅の紅葉に、竹林の緑を背景に幻想的な美しさが浮かび上がります。
夜のライトアップに浮かぶ幻想世界に浸り至福の時を過ごせます。三十六詩仙の肖像で知られている詩仙堂は、白砂を敷き詰めた簡素の中にも風雅な趣のある庭園があり、それを囲むような紅葉が美しく室内に坐して鑑賞する時、横長に連なった堂内の各室からは、視点の変化による展望が見事です。
鴨下神社は京都で最も古い神社で、世界文化遺産にも指定されて、3万6千坪の境内は「糺の森」と呼ばれる自然遺産でもあります。広大な原生林が健在で大樹に囲まれた日照条件のせいで、「糺の森」のカエデの紅葉期は京都で最も遅いのですが、泉川に覆いかぶさる深紅のカエデは流れの水も赤く染め、多くの人の心を引き付けています。
金閣寺から仁和寺へ向かう道は「きぬかけの路」と呼ばれ、その周辺や西陣界隈には、季節の花や紅葉が美しい名跡が数多くあります。光悦寺は日蓮宗の寺院で、茶人光悦が開いた芸術の拠点地でもあります。多くの芸術家や工芸職人と共に移住して芸術村として営み、特に茶道への造詣が深く「大虚庵」をはじめ「三巴亭」「了寂軒」などの茶室が点在し、閉寂な草庵をカエデの紅葉が晩秋のひとときを華やかに彩っています。
室町時代に創建された曹洞宗の寺院、源光庵は凛とした清浄感が漂い、本堂に坐すると北側に丸窓の「悟りの窓」、角窓の「迷いの窓」があり、どちらからも望める景色は、黄や赤に変化するカエデの彩りと山茶花の白花が、寺院の秋を見事に演出しています。
秋は観光のベストシーズンであり、交通機関も混雑し、宿を取るのも容易ではありません。山科、大津周辺の宿をあたってみるのも手です。紅葉の見頃は11月中から下旬ですが、東福寺辺りは12月2週でも十分楽しめる年もあります。参考資料>>京都東急ホテル > 京都ほてる
12月1周目は観光客も減り、宿の予約も楽になります。
人込みを避けて、紅葉を鑑賞したいのであれば、圓光寺や光悦寺あたりが、比較的穴場です。秋を代表する祭りは、10月22日に平安神宮の時代祭りと、同日の夜に行われる鞍馬の火祭。両方見る場合は、御苑から出る時代祭の行列を見たらすぐに、鞍馬に移動するといいでしょう。
嵐山もみじ祭りは、11月の第2日曜日に行われ、渡月橋上流の大堰川に船を浮かべ、その上で狂言などの伝統芸能が披露されます。秋から冬にかけては、松茸の他、エビ芋、壬生菜、賀茂なすなど京野菜が豊富に揃います。
旬の京野菜を使ったおばんざいや、脂ののった秋鱧、銀杏、栗などなど秋の夜長にぴったりな食材をぜひ食べて紅葉の鑑賞と共に、秋の京都を満喫してみてはいかがでしょうか。